一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


出来れば顔を見られずに中に入りたかった。



男性の手を引いて自らこの場所に向かったのは人生で初めての事だったし、正直なところ恥ずかしくて仕方ない。

モテるであろう彼は経験豊富なのだろうが、私はまだ片手で数える程度しか訪れた事がない。



それにこういう所に慣れていると思われるのも嫌だったけれども、それ以上に彼の事が心配なのだ。









覚悟を決めてゆっくり振り返って彼に声をかける。













「、、ホテルに入ろう?ここなら2人とも冷えた身体もシャワーで温める事が出来るし、服だってエアコンの真下に掛けて置けばきっと朝には乾くでしょう?だから、、ね?一緒に入ろ、、。」




きっと顔は真っ赤だ。

最後の言葉を言い終わる前に恥ずかしさの限界が来てしまって俯きながら呟く。

だから彼がどんな表情をしているか分からない。






男女が愛し合う為だけに作られたラブホテル。


目的は違えど恋人同士になった瞬間からこういう事へ誘ってくる私の事をどう思っただろう。






彼からの返事が返ってこない。

その間にも傘を持っていない私達は雨に打たれて体温が奪われ続ける。






もう彼の為ならどう思われてもいいと覚悟を決めて、もう一度彼の手を強く握りしめた。

そして力一杯に彼を引っ張ろうとすると、何故か逆に手首を掴まれ中へと引き込まれた。


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