一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
すると浴室の扉が開くのか分かった。
恐る恐る顔を上げるとそこには俯いた彼が立っている。
表情は俯いている為、見えない。
『怒っていますよ。貴方が私の身体を心配してここへ入ろうと言った事に。そして俺の事を何も分かってない紗江さんに。』
そういうとそのまま浴室の中へとゆっくりと足を踏み入れた彼。
『紗江さんの優しさは時に残酷ですね、、?』
そう言って顔を上げると悲しそうに笑った彼。
『初めてですよ。〝俺は〟初めてです。紗江さんと違ってこの場所に来たのも。こうやって異性に触れるのも全てが〝初めて〟です。』
「っ、、なに、、言って、、?」
『信じられませんか?それでも事実です。だから紗江さんがこの場所へと誘ったのが、雨で濡れている俺への気遣いであってその気がないと分かっています。それが分かっているから必死に感情と欲を押さえ込んでいたのにっ、、!』
そう言って真っ直ぐこちらに手を伸ばした彼だったが、私に触れる瞬間に軌道を変えて私の顔の横壁に手をついた。
その横顔はとても苦しそうで、私まで苦しくなる。