一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


「あっ、、嫌っ、、!返してっ!!」

『紗江さんは本当に自分の事を何も分かっていないんですね。それに、とても意地悪です。こんなに意地悪だなんて知りませんでした。』








両手で必死に身体を隠そうとするが逆に両手を押さえつけられ、ジッと見つめられる。




もう、泣きそうだ。





好きな人に幻滅されるのはもうウンザリだ。

彼にもそう言われたら、今度こそ立ち直れない。










何も言わずにただ見つめるだけの彼に小さな声で問いかける。






「分かってないって、、何を、、っ、、?」

『こんなに紗江さんのイメージ通りで可愛いのに何を言ってるですか?』

「、、えっ!?」

『それに、、無自覚なんでしょうけど過去の男の事を口にするのは如何なものかと思います。』

「あ、、っごめんなさい、、。」

『貴方のこんな姿を他の男も見たのかと思うと嫉妬で気が狂いそうです。』














そう言って頬に手を伸ばして目を細める仕草にゾクゾクと身体が震える。

彼のその表情は男の顔をしていて、可愛かった弟の彼は何処にもいない。







「情けない事に紗江さんの過去に嫉妬して、経験がない俺は貴方を目の前にして余裕もないです。だから逃げるならこれが最後です。でももしこのまま逃げずにいてくれるならこんな俺ですが、、、貴方に触れてもいいですか?」




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