一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
懐かしい話が出て思わず苦笑いを浮かべる。
あれはようやく仕事に慣れてきた入社3年目くらいだっただろうか。
英語が得意なわけじゃなかったが、英検を持っていたのが上層部の目に留まり内示を受けた。
でも海外で仕事をするなんて想像も出来ず、実家に住んでいた時期でもあり直ぐに断りを入れたのだ。
知り合いもおらず、文化も言葉も違う場所で生活なんて私には出来ない。
大学を出て直ぐに親元離れて1人海外で仕事をして、実績を残して日本に戻ってきた彼。
きっと並大抵の努力なんかじゃなかっただろう。
そういう面は本当に尊敬している。
私には到底無理だもの。
「そんな事もあったね〜。懐かしいなぁ。あの時は断って良かったと思う。私なんかのスキルじゃ海外なんて本当に無理だったよ。」
『そうですか?俺はそうは思いません。紗江さんの優秀さは知ってますから。上層部の判断も納得です。もしそんな事が実現していたらもう少しだけ早く再会できていたんですね。』
目を細めて少し寂しそうな表情を浮かべる彼。
そんな彼に少し酔った様子の真由ちゃんがニヤニヤしながら絡み始めた。