一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「あ、そうだね。」
『では直ぐにシャワーを浴びて来ますので、少しの間待っていて下さい。それが終わったら紗江さんの部屋に向かって、出勤準備が出来て余裕があったらモーニングでも行きませんか?』
「うん!」
『寛ぐ場所はありまんが、待っていて下さい。』
そういうと奥の浴室へと消えて言った彼。
改めて彼の部屋を見渡す。
必要最低限のモノしかない部屋。
母親1人子1人だった彼は幼少期、こんな風に過ごしたんだ。
きっとお母さんは彼を育てる為に必死に働いていて、そんなお母さんの帰りを待ちながら部屋で独りきりで過ごしてきたのだろう。
それが父親と思わしき人物が目の前に現れてから急に一変した日常。
戸惑いや不安、そして誰も知りあいの居ない所への環境の変化と周りの大人達の心無い言葉や視線。
子供はいつだって悪くない。
あくまでも自分勝手な大人の被害者だ。
だから彼が父親を恨みたくなるのも嫌いになるのも分かる。
それでも本当に彼のお父さんは彼を蔑ろにしていたのかという疑念を抱いてしまう。