一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
立ち止まったままの彼の手をしっかりと握り直して、空いている方の手でドアにノックをした。
その私の行動に驚いている彼には目もくれず、女は度胸だと自分に言い聞かせて〝失礼致します〟と声を掛けドアを開けた。
広々とした豪華な個室の窓際にあるベット側に立つ1人の男性とそのベットに上半身を起こした状態でこちらを見ている男性。
きっと1人は秘書の方でもう1人が彼の父親。
そんな2人を一度しっかりと見つめてから深々と頭を下げる。
「初めまして。柏木紗江と申します。歳は28歳です。本日はお忙しい中にお時間を取って頂きありがとうございます。」
そう言って顔を上げる。
秘書の方は無表情でこちらの様子を伺っている。
彼の父親は〝あぁ〟と一言だけ呟くと目を伏せてしまったが、負けじと真剣な想いを伝える。
「本日は暁人くんとの交際を認めて頂きたく、お願いに上がりました。、、彼が今まで生きてきた世界は一般家庭で生まれ育った私には想像もつかない世界です。本来ならば彼の事を思い、身を引く事が正しい事なのだと分かっています。」
「、、そうだろうな。」
こちらを見ることなく小さく呟いた横顔は何故かとても寂しそうな顔をしていた。