一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
そう言ってゆっくりと顔を上げた彼は、まるで別人のように冷たい表情をしていてゾクリとした。
『家族?切るもなにも元々繋がりなどない。俺の家族は母さんだけです。』
「本当にそう、、?だったらあんなに優しい顔も寂しそうな顔もしないんじゃないかな。実際には反対だってされなかった。」
『本当に紗江さんは、、誰にでも優しい善人ですね。感情が豊かで人の痛みに敏感で困っている人間を放っておく事ができない。でも、、だから騙されて直ぐに絆される。』
「絆されるなんてっ!私はただっ、、!」
『実際にそうじゃないですか?可哀想な俺に騙されて、絆されて側に居てくれる。実際は貴方の側に居てもいいような人間でもないのに。』
不敵に笑った彼の指先がゆっくりと頬に触れた。
『もしかして反対されたかったですか?寧ろそうなる事を望んでいましたか?、、、本当は俺から逃げたかったんじゃないですか?』
「なんで、、そうなるの、、、?」
精一杯の気持ちを伝えてきたつもりだった。
それなのにそんな風に言われるとは思わなくて、あまりのショックで目からは涙が溢れる。
その涙を掬う指先はいつもと違って冷たく、いつもと同じように微笑んでいるのに目が笑っていない。
今の彼は、私の知っている彼ではない。
途端に怖くなって一歩後ろへと下がると手首をグッと掴まれた。
『逃がさない。もう絶対に貴方を離さない。貴方さえ側に居てくれるなら何も必要ない。俺が貴方をどれくらい必要としているか、、教えて差し上げてますよ。』