一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
探し求めた相手から届いた手紙がこんなにも苦しくさせるなんて、、。
私なら耐えられない。
きっと、、彼のお父さんも。
「、、彼女はとても真面目な性格でした。だから許せなかったのかもしれません。仕事を放棄して自分を探し続けている事に。」
「、、そうですね。私でもそうしたかもしれません。大切な彼の為に身を割く思いで離れたのに、いつまでも彼がそんなんじゃ何の意味もないです。でも、、暁人くんのお父さんの気持ちを思うと切なくて苦しくもなります。きっとお父さんにとって彼女が全てだったんでしょうね。」
「そうです。社長にとっての全てでした。その手紙が届いてから社長は少しずつ彼女と出会う前の社長へと戻っていきました。、、諦めたのか、吹っ切れたのか分かりませんが彼女の意思を尊重したのだと思います。下がっていた業績も元の水準に戻り経営も安定していきました。程なくして社長は親が決めた相手と結婚されました。しかし2人の間に子供が産まれる事はなかった。」
「それは結婚した女性が不妊症だったから、、とかですか?」
「いいえ、違います。子供が〝出来なかった〟のではなく〝作らなかった〟のです。社長が愛した女性はこの世でただ1人。例え彼女の事を諦めて他の女性と結婚しようとも愛する事は出来なかったという事です。社長は奥様に指一本触れる事はありませんでした。」
その言葉を聞いて、胸の奥でずっと引っかかっていたモヤモヤが晴れた気がした。
暁人くんは愛人の子なんかじゃない。
愛する人との愛の結晶だったのだ。