一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》



芳川さんと互いの連絡先を交換して、その日は別れた。


慎一と2人、実家へと無言で歩く。











きっと慎一も私と同じで考えているのは彼の事だ。


暁人くんも壮絶な人生を送っていたが、彼の父親と母親もまた壮絶過ぎる人生を送っていた。






対して私達は小さな悩みはあれど、とても幸せに暮らしていたのだと改めて思い知らされた。


帰りたいと思える笑顔溢れる温かい場所がある。








それが当たり前に私達にはあったけれど、当たり前なんかじゃない。











「なぁ、、姉貴。俺ら恵まれていたんだな。」

「そうだね。物凄く恵まれた。何気ない幸せに溢れてた事に今日、改めて気付かされたね。」

「アイツも俺らとは違う形の〝愛情〟に包まれていたけど、、それでもやっぱり、、。」

「うん、、。それが伝わってないならきっと意味が無かったんだね。でもまだ間に合うよ。お母さんはもうこの世に居ないけど、お父さんはまだこの世にいるもの。きっと分かり合えると私は信じてる。」

「けどアイツを説得できんの?まず会わせる事すらままならないだろ?」

「そうだね。一筋縄ではいかないだろうけどね。」

「何かあったら連絡して。俺も手助けするから。」

「うん、、ありがと。」

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