一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
それからの事はよく覚えていない。
どうやってあのホテルを出たのか、自分が今何処に向かっているのかさえ分からない。
「、、姉貴?」
微かに知った声が聞こえたような気がしたけど、今は何も考えられなくて振り向かなかった。
すると徐々に足音が近づいてきて、肩を勢いよく掴まれた。
「姉貴っ、、!どうしっ!?」
掴んだ相手は私の表情を見るなりに表情を歪ませ酷く戸惑ったように言葉をつぐんだ。
私は今、、そんなに酷い顔しているのだろうか。
弟のこんな顔、初めて見るかもしれない。
でもそのお陰で、少しだけ我に返った。
今更かもしれないけど、これ以上心配を掛けまいと口角を必死で上げて言葉を発した。
「あはは、暁人くんに振られちゃった。」
強がって明るく事実を伝えてはみたものの、口に出すと更に現実味が増して止まっていた涙がまた流れてくる。
「離れたく、、なかったなぁ〜っ、、。」
本音を漏らすと気丈に振る舞おうとしていた精神が崩壊し始める。
ガクガクと膝が震え出して真っ直ぐに立つ事すらままならない。
慎一の身体に支えられるようにもたれ掛かるとより一層に力が入らなくなった。
「おいっ!!!姉貴っ、、、!」
慎一の叫ぶ声を最後に意識が遠のいていった。