一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
そしてもう既に心に決めた女性を見つけてしまったのだろうか。
もし2人の心が通じ合っているのなら、私にそれをどうこうできるの?
彼の幸せを願うなら身を引くべきでは、、?
全身が少しずつ冷たくなっていくのが分かる。
決心が揺らぎそうになったその時、芳川さんの柔らかい声が耳に響いた。
「業務以上に必要なお話ですよ、暁人さん。こちらに来られてから、私はずっと貴方を側で見てきました。失礼ですが、、貴方の事を父親のような心境で見守って参りました。私の願いはたった一つです。幸せになって頂きたい。、、向こうが動かなくともいずれ私が動くつもりでした。しかしそんな必要ありませんでしたよ。予想外の行動に柄になく笑ってしまいました。まさか今まで培ってきたキャリアをいとも簡単に捨てるなんて。」
『仰っている意味が分かりません。』
イライラとした彼の声に芳川さんは諭すように呟いた。
「貴方には幸せになれる権利があるのです。しかしそれを自らが掴み取ろうとしなければきっと一生こんなチャンスは訪れないでしょう。」
『っ、、ですから一体なんの話ですか!?』
声を荒げた彼になだめるような声色。
「暁人さんは幸せ者ですね。私もそんな相手に出会いたかった。」
壁を隔てていても分かる。
芳川さんはきっと今、凄く優しい顔をしている。