心がささやいている
付いているキーホルダーは子どもに人気のキャラクターのものだ。その可能性が一番高いかもしれない。
でも、周囲には鍵を探している風な人物は見当たらなかった。近くに自転車が止められているような場所もない。ここではない何処かで自転車を降りて、移動中や遊んでいる間にでも落としたのかもしれない。
(まだ、失くしたことにさえ気付いていないかも…)
咲夜は迷っていた。
本来なら交番へ届けるのが一番安心な選択だとは思う。でも、この辺りを歩いていて落としたとなると鍵の持ち主は、まず当然この周辺を探し回るに違いない。土手を降りて移動したともなれば、草木の生い茂る場所での鍵を探す作業は途方に暮れてしまうものになるだろう。そうして散々探し回った挙句、疲弊した状態でも、何とか交番へと辿り着いてくれればまだ良いが、果たしてそう上手くいくだろうか?それならば、このままこの辺りの目立つ場所に置いておいてあげる方が親切なのではないのか、とも思うのだ。
実を言うと、この辺りの土地勘はあまりなく、この場所から一番近い交番が何処かも分からなかった。でも、この目線の高い土手上から見る限りでも、それらしい建物は近くになさそうで。
どうしようかな?そう、立ち止まっていた咲夜の斜め上から突然声が掛かった。
「…落とし物か?」
「……っ…!?」
慌てて声のした方へ視線を向ければ、右上から覗き込むように咲夜の手の中にあるものを見下ろしている男子生徒が真横に立っていた。
(だ、誰っ…?)
同じ高校の制服を身に纏ってはいるが、知らない生徒だった。
でも、周囲には鍵を探している風な人物は見当たらなかった。近くに自転車が止められているような場所もない。ここではない何処かで自転車を降りて、移動中や遊んでいる間にでも落としたのかもしれない。
(まだ、失くしたことにさえ気付いていないかも…)
咲夜は迷っていた。
本来なら交番へ届けるのが一番安心な選択だとは思う。でも、この辺りを歩いていて落としたとなると鍵の持ち主は、まず当然この周辺を探し回るに違いない。土手を降りて移動したともなれば、草木の生い茂る場所での鍵を探す作業は途方に暮れてしまうものになるだろう。そうして散々探し回った挙句、疲弊した状態でも、何とか交番へと辿り着いてくれればまだ良いが、果たしてそう上手くいくだろうか?それならば、このままこの辺りの目立つ場所に置いておいてあげる方が親切なのではないのか、とも思うのだ。
実を言うと、この辺りの土地勘はあまりなく、この場所から一番近い交番が何処かも分からなかった。でも、この目線の高い土手上から見る限りでも、それらしい建物は近くになさそうで。
どうしようかな?そう、立ち止まっていた咲夜の斜め上から突然声が掛かった。
「…落とし物か?」
「……っ…!?」
慌てて声のした方へ視線を向ければ、右上から覗き込むように咲夜の手の中にあるものを見下ろしている男子生徒が真横に立っていた。
(だ、誰っ…?)
同じ高校の制服を身に纏ってはいるが、知らない生徒だった。