心がささやいている
その後。
夕食を終え、風呂の準備が出来たので祖母に入るよう伝えに咲夜が居間へと向かうと、祖母は電話中だった。
「ええ…。そう、分かったわ。教えていただいてありがとうね。…ん、そうね。じゃあ、明日…。ええ、おやすみなさい」
受話器を置くや否や、傍にいる自分に気づいた祖母がこちらを振り返りながら小さくため息を吐いた。
「困ったわ…」
「どうしたの?おばあちゃん、何かあった?」
「…それがね…」
その十数分後。
咲夜は、夕方から降り始めたらしい小雨の中、傘を手にひとり夜道を歩いていた。祖母に使いを頼まれた為だ。
何でも祖母の古い知人が亡くなったとのことで、先程の電話はその知らせだった。世話になった相手らしく明日葬儀に出席することにしたので、急きょ香典袋が必要だというので咲夜自ら買い物をかって出たのだ。
時計は既に夜の八時を回ってはいるが、24時間営業のコンビニならば問題ない。家から少し距離はあるが、それを目指して咲夜は足を進めた。
本音を言ってしまうと、辰臣たちのことが少しだけ気になっていた。だが、救済センターの前を通ってみたもののクリニック内は明かりが灯っておらず、人の気配はない。
(時間的には戻って来てる頃だと思ったんだけど)
雨が降っていることもあるし、早めに上がったのだろうか?
もし、そうならいいけれど。
元々居もしない猫をこんな時間まで探し続けること自体、あまりに不憫に思えてならなかったし、それを知っていながら二人に伝えることが出来ない自分自身にも嫌悪で一杯だった。
(でも、こんな冷たい雨も降ってるし…)
もう仕事は終えたのだろうと気持ちを切り替え、コンビニへと再び足を向けて歩き出した、その時だった。
夕食を終え、風呂の準備が出来たので祖母に入るよう伝えに咲夜が居間へと向かうと、祖母は電話中だった。
「ええ…。そう、分かったわ。教えていただいてありがとうね。…ん、そうね。じゃあ、明日…。ええ、おやすみなさい」
受話器を置くや否や、傍にいる自分に気づいた祖母がこちらを振り返りながら小さくため息を吐いた。
「困ったわ…」
「どうしたの?おばあちゃん、何かあった?」
「…それがね…」
その十数分後。
咲夜は、夕方から降り始めたらしい小雨の中、傘を手にひとり夜道を歩いていた。祖母に使いを頼まれた為だ。
何でも祖母の古い知人が亡くなったとのことで、先程の電話はその知らせだった。世話になった相手らしく明日葬儀に出席することにしたので、急きょ香典袋が必要だというので咲夜自ら買い物をかって出たのだ。
時計は既に夜の八時を回ってはいるが、24時間営業のコンビニならば問題ない。家から少し距離はあるが、それを目指して咲夜は足を進めた。
本音を言ってしまうと、辰臣たちのことが少しだけ気になっていた。だが、救済センターの前を通ってみたもののクリニック内は明かりが灯っておらず、人の気配はない。
(時間的には戻って来てる頃だと思ったんだけど)
雨が降っていることもあるし、早めに上がったのだろうか?
もし、そうならいいけれど。
元々居もしない猫をこんな時間まで探し続けること自体、あまりに不憫に思えてならなかったし、それを知っていながら二人に伝えることが出来ない自分自身にも嫌悪で一杯だった。
(でも、こんな冷たい雨も降ってるし…)
もう仕事は終えたのだろうと気持ちを切り替え、コンビニへと再び足を向けて歩き出した、その時だった。