100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 基は俯き、しばらく迷ったあとで、

「高倉が酔っている勢いに乗って、お前に迫ってこいと言うので、来てみたが。

 何故、そんなあられもない格好をしているっ。

 このまま此処にいたら、なにをするかわからないじゃないかっ、俺がっ」
と言い出す。

 いやあの……、迫りに来たのなら、なにしてもいいんじゃないですかね?
とバスタブをつかんだまま、あやめは思っていた。

 いや、突然、迫って来て欲しいわけではないのですが、もちろん。

 心の準備もないので――。

 いや、心の準備があれば、迫って来てくれていいわけではないのですが、もちろん……。

 だが、そんなことを考えているあやめの前で、基は、なんということだ……と呟きながら、そのまま引き返そうとする。

 うーん。
 この人のことだから、このまま帰るんだろうな、と苦笑いしながら、あやめは見ていたのだが。
< 435 / 568 >

この作品をシェア

pagetop