【女の事件】とし子の悲劇~2・5世帯のなみだ
第26話
アタシは、クソッタレの家から逃げ出した後、再び女ひとりで生きて行くことを決意したあと、着替えとメイク道具をぎっしり詰めたボストンバックと赤茶色のバッグを持って愛媛県四国中央市まで逃げた。

アタシは、JR伊予三島駅の近くにあるマンスリーアパートに移り住んで、新居浜のデリヘル店に在籍をしていた時に仲良しだった女のコからの紹介で、四国中央市に新しくオープンしたデリヘル店に入店した。

出張範囲は、西は新居浜市の住友病院前のバス停付近の地域まで、東は香川県三豊市までとなっている。

新しくオープンしたデリヘル店には、アタシがかつて在籍をしていた新居浜のデリヘル店で働いていた女のコが数人いた。

数人の女のコたちは、アタシが移り住んだマンスリーアパートの近くで暮らしていたので、アタシは安心して四国中央市で暮らすことができた。

デリヘル店に待機部屋があったけど、自宅待機もOKと言うことなので、アタシは自宅待機を選んだ。

待っている間、アタシは中ノ庄町の国道11号線バイパスにあるサンクスでバイトをしてお金を稼ぐことにした。

デリヘル店には、サンクスでバイトをする時間をあらかじめ知らせていたので、アタシは昼夜問わずに働くことができた。

アタシは、今度こそは女ひとりで生きて行くのだとを決意をした。

アタシは今でも、クソッタレの家の親族たちを絶対に許さないと怒っていた。

クソッタレは、6月1日の徳島県議会の本会議で女性議員さんに対してのセクハラヤジの問題に向き合おうとせずに謝罪の機会をズルズルと先伸ばしを続けていたので、近い将来に鈴原家は重いツケを背負うことになるだろうと思っていた。

さて、アタシが家出をした後、クソッタレはどうしていたのかと言うと、6月1日のセクハラヤジの問題以降ひとりでいじけてばかりいた。

クソッタレは、6月1日の徳島県議会の本会議が終了後に報道機関の記者からの質問攻めで気持ちがヒヘイしているそのまた上に、義父母や親族たちから口やかましく言われたことにイラついていた。

政府与党の政党の徳島県連の男性幹部数人は、クソッタレのために6月1日の県議会の本会議でのセクハラヤジ問題を収束させるために女性議員さんに謝罪するように説得を続けていた。

しかし、クソッタレが口をつむじ曲げにしてはぶてまくっていたので、話し合いができなくなっていた。

クソッタレが謝罪しないとひねてくれてばかりいる中で、7月23日に最初の事件が家庭内で発生した。

7月23日の昼過ぎのことであった。

クソッタレは、気持ちがすごくギスギスしていたので気晴らしに打ちっぱなしのゴルフ場に行こうかと思っていたので、ゴルフバッグを取りに自分の部屋に入った。

そしたら、愛用していたブリヂストン・ツアーステージのゴルフバッグがクラブごとなくなっていた。

激怒したクソッタレは、ちづるさんの出産に必要な母子手帳を廃棄して、出産の費用に使うためにふたりで貯めた預金通帳を勝手に解約したあと、ノミ代に使った。

7月24日のことであった。

ちづるがクソッタレに母子手帳を廃棄したことを問い詰めたことから、父と娘が大ゲンカを起こした。

「お父さん!!あんまりだわ!!アタシの出産に必要な母子手帳をどうして捨てたりしたのよ!?」
「フザケルな!!オドレか!?父さんの大切にしていたゴルフバッグを勝手に持ち出したのは!?」
「知らないわよそんなのは!!お父さんこそ!!よくもアタシの出産に必要な母子手帳を廃棄しておいて!!よくもヘーゼンとしていられるわね!!」
「だまれ!!」

(ガツーン!!ガツーン!!)

ちづるは、クソッタレにグーで思い切り顔を殴られた。

「フザケルな!!オドレは学校を勝手に無期限で休学しておいて!!デキ婚をしやがって!!えらそうにしやがって!!」
「やめて!!お父さんやめて!!」

ちづるは、クソッタレからシツヨウにグーで顔を殴られた上に、髪の毛をハサミでズタズタに切られてボロボロに傷ついてしまった。

クソッタレがちづるに暴力をふるっている現場を、クソッタレのことを(よけいな)心配をしている政府与党の政党の徳島県連の男性幹部数人に見られてしまった。

男性幹部のひとりは、クソッタレのじいやんにクソッタレが自分の娘に対してきつい暴力をふるっていたことをチクリ(言いつけ)った。

チクられたじいやんは、激しい衝撃を受けて倒れてしまった。

そして、その日の夕方のことであった。

クソッタレがちづるにきつい暴力をふるった事件で、義父母は、ものすごく怒っていた。

義父母のとなりにいるじいやんは、しくしく泣きながら『鈴原の家はおしまいじゃ…腹を切ってやる…』と言うていた。

ちづるは、顔や身体中がボロボロに傷ついていて、言葉が言えないほど苦しんでいた。

義母は、大きくため息をついてからあつかましい口調で義父にこう言うた。

「サイアクだわ…6月1日の県議会で女性議員さんに対してのセクハラヤジで謝罪が遅れてばかりいる上に、としこさんに続いて自分の娘にまできつい暴力をふるった上に、家中を暴れまわって…もうお手上げよ!!あなた!!真佐浩のことをなんとかしなさいよ!!」
「分かってるよ!!こんなことになるくらいなら、真佐浩を県議会の議員さんにさせるのじゃなかった…おい真佐浩!!オドレはおじいさまが何で泣いているのか分からないのか!?」
「だまれ!!オレは怒っているのだ!?よくもオレを不幸にしやがって!!」
「真佐浩!!」
「お父さんやめてお願いだから!!…真佐浩!!お母さんもうしんどいのよ…このまま県議会で起こしたセクハラヤジの問題から逃げ続けるわけなの!?もうあきれてものが言えないわよ!!」
「オレはヤジを飛ばしていないから!!別の議員が言ったのだ!!」
「真佐浩!!キサマは!!」
「やめて!!もうダメ!!真佐浩がいい子になるようにと一生懸命になって51年も育ててきたのに、ちっともいい子に育たなかったわ…行く先々で揉め事がたえずに…こんなことになるのだったら早いうちに施設に入れておくべきだったわ!!」

義母が泣きながらこう言うたので、義父は『よしわかった!!』と言ってから、真佐浩にこう言い放った。

「真佐浩!!お前は、6月1日の県議会の本会議で女性議員さんに対してのセクハラヤジのことについては、別の議員さんが言ったことにしておいて、自分は関係ないと言いたいのだな!!」
「ああそうだよ!!オレはセクハラヤジを飛ばしていないからな!!」
「謝罪が出来ないのなら!!辞職して議席を徳島県に返せや!!オドレみたいなセクハラ議員がいたら県内の他の地域から来た議員さんたちに迷惑がかかるぞ!!」
「上等だ!!辞職するよ!!議席を返せば問題は解決するのだな!!だったら辞職するよ!!」
「真佐浩!!」
「お父さんやめて!!真佐浩!!あんたは、おじいさまや選挙の時に支援をしてくださった町民の皆様や県民のみなさまの気持ちを逆なでにする気なのね!!もう分かったわ…この家は危なくなるわ…真佐浩!!お母さんが知り合いの知り合いで今治の社会福祉法人の理事長さんにお願いをしておくから、この家を出て今治のグループホームに移って、玉川町にある就労A型のワークセンターに入所して、ヘルパーさんの支援を受けた方がいいわよ…真佐浩!!」
「何だと!?オレを施設に入れるのか!?」
「お父さんと大ゲンカを繰り返すそのまた上に、ちづるやちづるのダンナに暴力をふるう気なの!?」
「もういっぺん言ってみろ!!」

クソッタレは思い切りキレて、家中を暴れ回った。

義父母は、ちづるを守るために早めに家から出して日和佐から北へ60キロ離れた町にあるシェルターに避難をさせた。

ちづるのダンナは、クソッタレが恐ろしくなったので、友人の家に転がり込むことになった。

とうとうクソッタレは、6月1日の県議会の本会議でのセクハラヤジの問題で女性議員さんに謝罪をする機会を逸した。

県議会の議長は、このままでは県政が停滞する恐れが出てきたので、クソッタレを強制辞職させた。

頼みのつなであった政府与党の政党の徳島県連からも見放されたので、クソッタレはますます孤立を深めていた。

クソッタレは、7月31日をもって徳島県議会の議員の資格を剥奪されたのと同時に政府与党の政党の徳島県連からも除名処分を喰らった。

セクハラヤジの問題を素直に認めて、女性議員さんに早めに謝罪をしていれば…と後悔しても、今さら遅いわ…

クソッタレは、7月31日の夜に家出をして小松島市中郷町のJR中田(ちゅうでん)駅の近くのアパートで暮らしているスナックの従業員の女性の部屋に入り浸りになっていた。
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