【女の事件】とし子の悲劇～２・５世帯のなみだ

第28話

８月６日のことであった。

この日は、雲ひとつない青空で、ギラギラと真夏の太陽が照りつけていて、セミがひっきりなしに鳴いていた。

そんな時であった。

この最近、クソッタレの家の近辺では濃いめの金髪で、黒のサングラスに赤とオレンジの派手なTシャツと白のデニムパンツを着ましたがらの悪い男がウロウロしているのを見かけるようになっていた。

がらの悪い男は、桂一郎さんだった。

桂一郎さんは、高松の事件や複数のレイプ事件などでケーサツに逮捕されたけれど、精神鑑定で心身喪失と診断されて不起訴となってシャクホウされた。

しかし、行くところがないので四国各地の友人宅を転々とする日々を送っていた。

桂一郎さんの友人は、ヤクザ稼業かヤンキーなどの悪い人間ばかりであった。

桂一郎さんは、行き場をなくしていたのでヤクザとして生きて行くより他はなかった。

この時、桂一郎さんはクソッタレの家にやって来た。

家の玄関の前で、芹華さんが花に水を与えていた時であった。

桂一郎さんが芹華さんに家の中へ入れと凄んでいた。

芹華さんは、桂一郎さんから凄まれたので、家の中に入った。

家の居間にて…

ふたりは、こんな会話をしていた。

「あんた一体何をしに来たのよ!?用がないのなら帰ってよ!!」
「こっちは手ぶらで帰ることが出来ないのだよ!!おい芹華!!オドレはいつからセクハラ議員の男のテカケ(めかけ)になったんぞ!?何とか言えよ!!」
「イヤ!!やめてお願いだから…助けて…助けて…」
「なーにが助けてだ…あのな!!こっちは手ぶらで帰るわけには行かないのだよ!!あのな!!オドレの好きなセクハラ議員の男は、３度の県議会選挙の時に、うちの親分から供託金(ゼニ)がほしいからと言うて2000万円を借り入れてとったんや!!いつになったら親分から借り入れた2000万円を返すんぞ!?」
「何のこと？…アタシ…知らないわ…助けて…」
「あんたさ…オドレはクソッタレ上級国民の男をかくまう気だな!!あんたが知らんと言うても…鈴原のクソッタレジジイがうちの親分と親密な関係があると言うことを知らへんのか!!」

桂一郎さんは、芹華さんにクソッタレのじいやんがヤクザの組長と親密な関係にあると言うことを明かした。

芹華さんは、ただひたすら許してくださいと泣きながら桂一郎さんに言うていた。

けれど、桂一郎さんは芹華さんにカネを返せと一点張りになっている。

「イヤ!!許して…許して…お願いだから…」
「だったらカネ返せや!!鈴原のクソッタレ上級国民が作った借金は…クソッタレのテカケであるあんたが払うのだよ!!」
「アタシには…そんな大金は…持っていません…お願いだから…」
「ホーデ、分かった…せやったら、こっちは実力行使に出るぞ!!芹華が女子校時代の時に担任の先公とできていた上に、同棲生活をしていた時の写真をネットに拡散するぞ!!」
「やめて!!…お願いだから、やめて!!」

芹華さんは、桂一郎さんに20万円を差し出した。

「お願い…女子校時代のことを…掘り起こさないでよ!!お願いだから…」
「何のマネや!?」
「お願い…だまっていて…お願い…」

桂一郎さんは、しぶしぶとした表情で20万円を受けとった。

「分かったよ…今日のところは見逃すが…供託金名目で借り入れた2000万円は返してもらうからな!!親分もそうとう怒ってはるからな!!アバよ!!」

桂一郎さんは、芹華さんにこう言うた後、その場から立ち去った。

芹華さんは、恐怖で言葉が出なかった。

その頃、クソッタレは阿南市のハローワークに行って、仕事を探していたけれど、なかなか見つからずに苦しんでいた。

履歴書を持って、事業所へ面接に行っても、不採用の山ばかりが続いていたので苦戦を強いられていた。

クソッタレは、今もなお６月１日の県議会の本会議で女性議員に対してのセクハラヤジの問題で謝罪をしないとイコジになっていた。

鈴原の家では、このあと恐ろしい事件が立て続けに発生して行くのであった。

クソッタレのじいやんがヤクザの組長と付き合っていたことが大衆週刊誌やタブロイド夕刊などのトップでデカデカと報じられていたので、クソッタレは奈落の底へと突き落とされてしまった。