いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
誰に視線を合わせても、怖い。 直感的にそう感じた真衣香は下を向き、何とか声を張り上げた。
「はじ、初めまして! た、立花真衣香……です」
必死の思いで名を伝えると、どっと笑い声が生まれてしまった。
「なになに、夏美と涼太の連れにしちゃ毛色違うくね?」
「フルネームって! 真面目!」
「やだやだ、真衣香ちゃん何歳~? まさか高校生~?」
からかうような口調が返ってきて、真衣香は暑くなんてないのに背中にじわりと汗をかいたような気がした。
(どうしよう、最悪……。間違えた、絶対)
やはりこういう場は、もちろん慣れないし、大勢の前で発言するのも怖い。
それを言い訳になんて、もうしたくはないのだけれど……。
ケラケラと笑い飛ばされるくらいには、掴みは失敗したようだった。
はぁ……。と真衣香は自分に呆れ、小さく息を吐く。
そして思う。
赤の他人の集まり――世間の目は正直だ……、と。
焦る心の、どこか隅っこで冷静に考える。
異端なんだ。
この場に、自分は馴染めていないんだ。
傍目からも明らかに、坪井の隣にいて違和感がないのは咲山なんだ。
会社という小さな世界の中では、何かそういった属性的なものを隠せる要素があるのだと思う。
仕事の能力や、配属先や、そんなものでイメージはいくらでも補正できる。
その小さな世界を抜け出して、真衣香に突きつけられた現実だった。