いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
しかし坪井はジリジリ距離を詰め、首を傾げながら聞いた。
「別にキレてないんだけさ、こいつに夏美とのこと聞くのはおかしーでしょ。 夏美もこんなふうに楽しみたかっただけなら帰るけど俺ら」
真衣香の横にいる咲山を振り返った坪井の鋭い瞳に、無意識に息をのんだ真衣香。
それは咲山も同じだったようで、ほんの少しだけれど肩が揺れたのを真衣香の目は捉えていた。
「は? な、何マジになってんのよ、涼太……。いっこ前の彼女もさ、ここ一緒に来たじゃん。その時は怒ったりしなかったじゃん。きょ、今日だって最終的には真衣香ちゃんが自分から来たし」
「だったとしてもさ、こいつが固まってんのに、お前何で隣で一緒になって笑ってんの?」
相手の声を聞かない迫力。
(こ、この雰囲気の坪井くんって)
既視感ならもちろんあった。
ついこの間、二課での一件で小野原たちに見せていた姿だ。
(ま、また私が空気読めてないせいで雰囲気悪くしちゃうじゃんか……!)
「つ、坪井くん。ごめん、私大丈夫だから……も、持ってきてくれたお酒飲もうかな! 前みたいに甘いお酒飲みたかったの!」
感じ取った不穏や空気を取り除こうとして、慌てて声にすると、坪井の視線が咲山から真衣香へと移った。
「え? あ、酒飲みたかった? よかった。俺は、お前がいいんならどっちでもいいんだけどね」
そう言いながら安堵したように柔らかい笑顔を見せ、真衣香の方にゆっくり歩みながら少し斜めを見て、一瞬立ち止まった。
……かと思えば。
慣れた手つきでダーツの矢を投げた。
シュッと風を切る音がして円形の端の方に刺さったそれは、少し揺れて、やがて止まる。