いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
チラリと先程矢を向けられていた男性を見れば、まだ青ざめて、坪井を眺めていた。
そんな視線に坪井は見向きもせず。
「あー、鈍ってんなぁ」と呟き、少し離れたところに放置されていた丸イスを、ガタガタと引きずりながら近付けて真衣香の隣に座った。
そして当たり前のように腰に手を回して、ギュッと引き寄せられる。
(ひ、人前でも距離が近い……)
いまだ触れ合いに慣れることができないでいる。
ドキドキと胸を高鳴らせながら見上げると、満足げな笑みが見えた。
甘い気持ちが広がって、けれど、苦味が上から降ってくるような。
そんなふうに。
笑顔と、向けられる優しさにいまいち喜び切れないのは何故だろうかと考える。
自分がわがままだからなのか。
それとも、坪井と咲山の距離感がおかしいのか。
経験のない真衣香には判断がつかない。
わからないまま坪井が持ってきてくれたグラスに真衣香が口をつけると、ジッと見つめ問いかけられた。
「どう?飲めそう?」
「う、うん。甘くて、美味しいよ。ありがとう」
いまいち落ち着かない心を隠すように、元気に答える。
「そ、よかった〜。お前今日帰り際忙しそうだったもんね、飲みたい気分だったんなら安心した」
スラリと伸びる脚を組んで、その膝元に肘をついて真衣香を見る優しい瞳は、言葉のまま本当にホッとしたような表情だ。