いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「そうそう、これは? こっちも甘めのやつ。ここのマスターさ、俺の友達の先輩なんだけど。強面だったろ? なのに甘いカクテル、すっげぇ得意なんだよ」
クスクス笑い声を上げながらイタズラっぽく笑顔を作って、別のグラスを真衣香に差し出した。
ミルク勝ちなカフェオレのような色をしたカクテルに素直に口をつけた。
バニラの風味が口に広がり、心地いい苦味が少し残る。
「わぁ、甘くて美味しいね、キャラメルっぽい!」
「だろ〜? ベイリーズミルク。カルーアよりコーヒ感ないし、お前好きそうかなって思って作ってもらってきた」
「わざわざありがとう。坪井くんの分は?」
ニコニコと楽しそうに真衣香にカクテルを飲ませる坪井は、死角部分に置かれたジョッキを体勢を少しズラしながら指した。
「ビールも持ってきたから大丈夫」
それを、一口飲んでから「あ、そうだ」と何かを思い出したように何度か瞬きをして、真衣香の腰に回している手に力を込める。
触れ合う個所が、むず痒くも幸せだと感じる。 そんな真衣香の心を彼は知っているのだろうか。
頬が、熱を持つ。
「甘いカクテルだとさ、前一緒に行ったバーの方がうまいんだよね、今度また行こうな」
”今度”という、未来の話が、今の真衣香には嬉しく、どこか救われる気分になり自然と笑顔になった。
つられたように、坪井もまた笑顔になる。
本日やっと、ほんの少しだけ、デート気分を味わえた真衣香だった。