いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「残念だったねぇ、きっとすぐに耐え切れなくなって、別れたくなると思うよ。相手の気持ちがわからないってしんどいんだから」
はしゃいだ口調、声はだんだんと高さを増して真衣香の心を締め付け、追い詰めようとする。
反撃の術を持たない、真衣香の心がそう聞こえさせているのだろうか。
「てか、荷が重いと思うなぁ。付き合う相手ってそれなりにレベルっていうの?似通ってくるじゃない? 高嶺の花とかそんな言葉があるようにさ」
だんだんと、哀れな真衣香を宥めるような口調へと変化していく。
「今日、本社で何人かに聞いてみたけど、真面目そうな子だってみんな口を揃えて言ってたし。そういう子には涼太、合わないよ、ね?」
言葉はないけれど「わかるでしょ?」と、アイコンタクトで付け加えられた……そんな気がした。
ほぼ一方的に、止まらない咲山の声が、頭にガンガンと響いて、痛い。
目の奥が熱い気がして、咄嗟に力を込める。
こんなところで泣いてはいけないから。
違う。泣きたくは、ないからだ。
「そんなことないって思う? でもさぁ涼太、つい最近だって、何回も私を抱きながら言ったんだよ"やっぱお前とヤるのが一番気持ちいーわ”って。そーゆうの耐えられる? 私、別れてから彼女持ちの涼太にそうやって何度も抱かれてきたんだよ」
『耐えられる?』と、聞かれても、もはや何に耐えればいいのか? 考えもつかなくなってきていた。
答えられない。わからない。
「だから、もっと真面目な男にしたらどうかな? 立花さんとお似合いの相手って他にちゃんといると思うよ?」
ゆっくりと言い聞かせるように、言われると。
それはまるで毒のように”不安”という傷口から全身を蝕んでいくよう。
「涼太、きっと真衣香ちゃんがいても、私のこと突き放しきれないと思うんだ。ね、よく考えて」
言い終わると、満面の笑みを見せ「お姉さんからのアドバイスだから、素直に聞いてよね」と、付け加え言った。
そうして、その後はさっさとトイレから出て行ってしまう。