いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


***


「立花、大丈夫? 酔った?」

真衣香がトイレから戻ると、それを見つけた坪井がダーツを中断し、心配そうに駆け寄り顔をのぞき込まれた。

「うん、ちょっと飲み過ぎたかな。明日休みだしいいんだけどね」

笑顔を作って返すと、更に顔が近づく。
暗がりでだって、なんて整った顔だろうか。
そりゃ、何人も女の人の影があったっておかしくない。

「うーん、お前嘘つけないよね。何かあった? 咲山さん?」

聞かれて、何も返さなかったけれど。もしかしたら身体がバカ正直に動いたかもしれない。
それを見逃しませんでしたよって、意味かもしれない。 そう、目の前の坪井の、瞳が細められて鋭さを持った。
すぐに隣のダーツ台にいる咲山を一瞬捉えて……だ。

「だ、大丈夫! ねえ坪井くんそろそろ帰ろうよ」

このまま、坪井と咲山が会話を始めてしまったらどうなるだろう? 
空気を悪くしてしまうどころか、聞きたくない事実を突きつけられるかもしれない。
そう、咄嗟に思った。

だからなのか。少しでも早く、この場を離れたくなってしまった。

(なんか、なんだろ。信じるって……)

まるで、目を逸らすことを意味しているようだ。
真衣香の"信じる"とは、何だろうか。

わからなくなって、俯くと、大きな手が真衣香の手を包んだ。

「うん、わかった帰ろ。ってことで咲山さん、俺ら先帰るね」


「え!? いいの?」と思わず聞き返した真衣香を見て坪井は笑う。「当たり前じゃん」と言って。

「え? もう行くのー?」

既に他の友人たちと談笑していた咲山が坪井を振り返る。
真衣香と目が合うと、先ほどやり取りしていた時と比べ、幾分柔らかい笑顔を向けられた。

「うん、立花、ちょっと疲れたみたいだし連れて帰る」

「そっか、うーん。私、久々来たしもうちょっといようかな」

「うん、お先」

「あ、待って待って!下まで見送るよ〜。私が誘ったんだし」

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