いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「……つ、坪井く……っ」
それでもなんとか酸素を求め、絶え絶えに名を呼ぶと、応えるように熱い舌先が真衣香の肌を攻め立てた。
そして、味わうようにして刺激する。
首筋を。
腕を、指先を。
ふとももを、膝を。
溢れ出して止まらない、聞いたこともない自分の声。
熱くて、切なくて、坪井が触れた場所から広がる快感に背筋がぴくり、ぴくりと反応を繰り返す。
けれど、幸せを感じる暇もなく、真衣香は目の奥が熱くなりはじめ、視界がぼんやりと滲み出してしまった。
体験したことのない行為に対して、もちろん恐怖があったのだと思う。
そして、なによりこのまま気持ちを誤魔化すようにして、この行為に逃げてしまってもいいのかと迷いもあった。
だからだろうか。
頬を、熱い、何かが伝う。
涙だ。
決して、喜びに満ちた嬉し涙でないことを、真衣香本人が一番よくわかっていた。
胸元にあった坪井の唇がビクっと反応をする。
嗚咽まじりに喘ぐ声が、泣き声だと気がついた様子で坪井は上体を起こした。
身体中に触れていた唇が、指が、重なり合っていた肌が、離れてゆく。
真衣香が確認するように見上げると、なぜか坪井は酷く怯えたように目を見開いて、それでいて、どこかホッとしたように脱力をして。
形容し難い表情を、繰り返していた。
やがて、濡れた頬に指先が触れ、真衣香の涙を拭う。
そして言った。
「……やめよ。ダメだわ、これ以上は」
小さな声だった。
苦しそうに掠れた声だった。
真衣香に言ったのか、それとも自分自身に言い聞かせたのか。
わからなかった。
「つ、ぼい、くん……?」