いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
〝営業部〟には、彼がいる。
「どうした?」と、隣のデスクで作業をしていた八木が不思議そうに呼びかけてくる。
しかし、答えを待つまでもなく真衣香の手元にあるメモを見た八木は「ああ、営業部のコピー機な」と呟いてから、再び真衣香を見た。
「なんだよ、ここ最近喜んで行ってたろ。坪井がいるから」
「そ、そうでしたっけ……?」
”坪井”と、その名前が聞こえただけで、声が上擦ってしまう。
けれど同じ会社に勤めているのだ。すべてを避けて通れるはずがない。
黙ったままの真衣香に、八木は「あー、はいはい」と何やら気がついた様子で頷いた。
「なるほどなぁ。ったく、金曜何かあったんだろ?わかりやすい」
「そ、そんなことは……ないんですけど……」
否定をした声が弱々しい。これでは認めているのと同じだ。
「ったく、あの後何かあったのか?まぁ咲山連れてった時点で目に見えてるっちゃ見えてんだけど」
「坪井もわかんねぇ男だなぁ」と、八木は椅子に深くもたれダルそうに脚を組みながら。呆れたように坪井の名を繰り返す。
あの日――咲山と坪井が真衣香を迎えにきたことを八木は知っている。
更には真衣香と坪井のことも、知っている。