いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


舞い上がりすっかり勘違いをしていた真衣香のことを八木は、知ってしまているのだから。

(……あ、だめ、無理。どうしよう、どうしよう)

名前を声に出されてしまうと、そして、いざ会わなければいけないと思うと。
それだけで心が乱されていくのがわかった。
目の奥が熱く、痛く、嫌な予感がする。

(ダメだって、こんなの八木さんにも……坪井くんにも迷惑になっちゃう)

咄嗟にデスク奥にあるペン立ての周辺を探るけれど、いつも置いている位置に目薬がない。
そういえば……、と思い返す。
週末に切らせてしまったから新しい目薬を買って今日持ってこようと思っていたんじゃないか。

唯一思いついた誤魔化す方法を失ってしまって、それ以上は今の真衣香では頭がまわらない。
何とか堪えようと思っていたのに、溢れ出してしまった。

(ど、どうしよう、タオル……だめ、タオルなんて出してきたら本格的になっちゃう、でもじゃあどうしたら止まるの?隠せるの?会社なのに!!!)

「おい、マメコ聞いてんのか……って、は!?」

真衣香を見て八木がギョッとしたように声を上げる。
そりゃそうだ、と。八木に申し訳なさを感じて俯く。するとポタポタとさらに涙が溢れた。

(やっちゃった……あり得ない、仕事中に泣いちゃうとか最悪だ)


< 169 / 493 >

この作品をシェア

pagetop