いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
どのくらい沈黙が続いたのか。
やがて力が抜けた咲山から、少し距離を取るようにして離れ坪井は起き上がった。
目の前の咲山を見るが、表情は確認できない。
無言のまま俯むく彼女に、この次の言葉を探していたが。
見つけるよりも前に、咲山の口から強張ったような震える声を聞いた。
「……二年、涼太に別の彼女いた時もあるけど、二年も一緒にいたのに、立花さんなの?」
「そうだな」
下手に隠して誤魔化して、咲山の心にこんな身勝手な男の存在を残してはいけない。
彼女のいう"二年"の真実なんて、酷いものだ。
「その二年の間も結局さ、ごめん。俺、立花のことが頭にあったんだよ……多分」
「どうゆうこと?」
咲山が、ゆっくりと顔を上げた。
大きな瞳を、きっといっぱいいっぱいに見開いて。
ハーフアップされていた淡い栗色の髪が、乱れて揺れた。その髪の感触を、手が覚えてしまうほどの年月、縛りつけていてしまったと思う。
決して応えるつもりのない咲山の気持ちを、利用してきたんだ。
「新人研修の時だっただろ、俺が夏美に声かけたの。その前に俺、一番に声かけたの立花だった。相手にされなくてお前に声かけ……」
言い終わる前に鈍い音が響いた。細い腕がエアコンのきいていない部屋、冬の空気を切って頰を打ったから。
冷たい空気と、じわりと頬に滲む痛み。ついに涙を流す瞳が、しっかりと坪井を歪んで映している。
「ふざけないでよ!」
「……ごめん」
咲山が坪井の頭を、手元に置いていた肩掛けのショルダーバッグで殴りつけた。
肩を、腕を、何度も。