いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「あー、やっぱそうなんですね。その時っていつもの子じゃなかったんですかね?」
恐らく、宅配業者のドライバーと話ながら真衣香の視線に気がついた坪井が、顔をほころばせ何度も頷いて見せた。
その笑みの理由も、頷いてみせる理由も、いまいちわからない。
首を傾げるが、坪井はそのまま電話を続ける。
「その社員証の紐って、赤でした?あー、そっか。はい、わかりました。いえいえ。こっちこそ忙しい時にすみませんでした、ありがとうございます」
そこで通話を終えた坪井が、真衣香と川口の近くに戻る。
「川口さん。この伝票ナンバーの荷物、よそに誤着してたんですって。昼からの便でこっちに到着してから、配達してくれたって」
「は?だから何」
「立花が11時頃にまとめて受け取ってくれてる荷物の中には、川口さんのプロモ用のサンプルはなかったですよってこと」
笑顔のまま飄々と答える坪井に、川口の怒りが復活してしまう。
「いつ届いたかじゃねぇだろ!朝でも昼でもこの女が受け取って、その荷物はないままじゃねぇか!」
「いや、だからちょっと落ち着いて聞いてくださいって」
まだ何か言いかけてる坪井の声を遮って、次に「あんたもだよ!」と、すぐ近くにいる真衣香のことを見た。
「男頼ってだんまりしてんなよ、自分で何にもできないのか?見てるとイライラするんだけど」
ピクッと肩を震わせるのみで、何も言葉を発しない姿。それを見て苛立ちがピークに達したのか、川口は坪井の脇をすり抜け真衣香の腕を掴む。
「……痛っ」と、迫力から思わず声が漏れた。その様子を目で追っていた坪井の顔から、貼り付けたままだった笑みがさっと消える。