いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


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そのあと、きっと夜の9時頃だったと思う。駅から少し離れた、こじんまりとした洋食屋に入った。赤い屋根が特徴的で、山にあるコテージのような外観だ。

遅めの夕食になった理由は、クリスマスで金曜日ということもあってか。やはりどこの店も混んでいたし、真衣香も夕方にお菓子を食べてしまったせいか、まだそこまでお腹が空いていなかった。

『じゃあ、食ってる奴らが飲み屋に移るくらいまで車走らせとくか』

と、八木が言ってくれたので。ドライブらしきものを楽しんでから、この店に来たからだ。

店内に入り見渡すと、カウンターや仕切りには赤煉瓦が使われていて可愛らしく、店の奥には暖炉もあった。
入り口横の大きな窓では赤いチェックのカーテンが存在感を示していて、これもまた可愛らしかった。

テーブルが6席ほどの小さなお店で、ラストオーダーは22時だと書いているけれどまだまだ混雑していたし、真衣香と八木が店に入った時点で1組待ちだった。
店員の女性がすぐに空くと言ってくれたので、入り口近くに用意されたイスに座り順番を待つことにした。

「こんなお店あったんですね……。か、可愛いです……今度優里にも教えてあげなきゃ」

真衣香がうっとり話すと、八木は頭を撫でてきて「楽しそうでよかったよ」と、どこかホッとしたように言う。

「八木さんのイメージじゃないですけど、よく来るんですか?」

何となく八木は、可愛らしい雰囲気の店よりも、大人っぽいバーなんかが似合ってそうなイメージがあって。それを素直に口にしたら「どんなイメージ持ってんだよ」と肩をすくめられた。

「いや、まあ初めてだけど。たまに通りかかってたし何かあるなぁとは思って見てたくらいで」
「やっぱり。八木さん、デートだと大人っぽくてカッコいいお店選んでそうですもんね」
「へえ? じゃあ今はデートじゃねぇって? 酷いもんだなぁ。お前に惚れてる男に言うか」

八木がニヤッと笑みを作ったので、しまった!と口元を押さえるけれど遅かった。

「こ、これは、だから……借りがって、八木さんが……あれ?」
「何?」
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