いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


真衣香が迷いなく声にしたなら、安堵したように大きく息を吐いた坪井が「……うん。俺も、それでも知ってて欲しいって、勝手なこと言おうと思ってた」と、答えながら首筋に埋めていた顔をゆっくりと上げた。

そして、手を繋いだまま身体を離し、すぐ隣に座り直した。
まっすぐ前を見つめたまま、ぽつりぽつりと話し始める。

「俺ね、さっき言った中学の頃に好きになった子。その子と付き合ってたんだよね、って言ってもマジでほんの一瞬。すぐ別れてさ」

坪井は真衣香の方を見ずに、先ほどまでよりも明るく、よく聞こえる声で言った。
しかし合間に重苦しいため息が混じっている。カラ元気だと考えるまでもなく、わかってしまう。
手だって驚くほどに冷たい。きっと、緊張しているんだろう。

「……理由は、俺が、逃げたから」
「逃げた?」

坪井は、ふぅ……っと、また苦し気に息を吐きながら自分の足に肘をついて、身体を折り真衣香に視線を向けた。

「うん、俺と付き合ったせいでクラスの女子に総スカンくらってたんだって。まあ、要はいじめだよね」
「……え、い、いじめ」
「そこで俺が、俺の彼女に何してんだよ。とかさ、かっこよく守ってれば大正解だったんだろうけど」

ジッと真衣香を見つめていた瞳が伏せられた。続く言葉を予想できない真衣香は、ただ新たに発せられる声を待つしかなく、もどかしい。
繋がれている手に力を込めることしか出来なかった。そんな真衣香の手を更なる力を込めて握り返した坪井が小さく、けれどハッキリと口にした。

「……守らなかった。まだ血が止まってないリスカの傷、わざわざ見せてまでくれたんだけど。俺、それを前に気持ち悪くなって逃げた」
「え、血って……」
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