いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「あ。このパスタねランチでもやってるんだよ、美味しいよ」
その苛立ちを消すようにメニューを覗き込んだ。
「サーモンときのこ、フレッシュトマトのソースの生パスタ……。へぇ、女の子が好きそうだよなぁ、いいんじゃない? あと適当に腹膨れそうなやつ」
「あ、だったらもうひとつパスタになるけど……カルボナーラでも頼んで、あとはパンとサラダ? いつも八木さんもこの量で足りてるみたいだから。坪井くんも足りるかな」
「八木さん?」と坪井が反応を見せる。
が、特に気に留めず真衣香は頷きながら店員を呼ぶ為コールボタンを押した。
すぐに注文をとりにやってきた店員に先ほどのオーダーを通した後、坪井を見る。
何やら、眉を潜めてイスに深くもたれ不機嫌そうな空気を醸し出している。
「え?どうしたの?」
「いや〜、八木さんとよく来る店なの?」
「よく来るというか、お昼たまに一緒に食べに出るから……」
「へ〜、男なんて全然関わってないのかなとか思ってたら、ふーん八木さん」
何がそんなに引っかかったのか、目を合わせてくれない。
「つ、坪井くん?ご、ごめん、何か気に障ったの?」
焦って尋ねる真衣香をじっと見て、小さく息を吐く。
そしてイスに深くもたれ掛かっていた体勢を少し戻した。
その分少しだけ見つめ合う距離が縮まる。 このまま坪井の、照明の光でキラキラと輝いて見えるブラウンの瞳を見つめ続けようか。
それとも逸らそうか。
なんて考えていた真衣香の心の声を遮って、坪井が答えた。
「ん〜、違う。なんかお前から他の男の名前出たのが気に食わないみたい」
「え!?男?」
(男……、そうか八木さんは男性か)
特に性別を考えて八木を見たことがなかったので、改めて認識する。