いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「うん。でもムカつくのも変な話だよね。あー、やっとそうゆうので文句言う女の気持ち理解したかも」
「文句?」
「……へへ、こっちの話」
少しだけ舌を出し、小首を傾げて笑った。
ぶりっ子的動作もイケメンがしてしまえば許せるものなのだなと真衣香は知った。
そしてハッと正気に返った瞬間、どっちの話だ。と、反射的に出そうになった言葉はもちろん飲み込む。
坪井ならば、聞かせたいことならすでに言葉にしてくれているだろうから。
(……突っ込んで聞かないでいい流れだよね? 多分)
「そ、そういえば明日は何か嫌なことがあるの?」
「ん?」
新しい話題を探した真衣香は、先ほど区切られたままだった会話を思い出した。
「はは、嫌ってか面倒ってか」
「面倒?」
「まぁね〜。面倒ごとって、若手に回ってくるじゃん?」
店内に飾られてる大きな絵画をボーッと眺めながら坪井が、途切れ途切れに話す。
「早く仕事捌けば捌いた分、また俺のとこに新しい仕事回ってくんだろ」
「うん」
「明日の直行先も明後日の出張も、まぁクレーム対応だけどさぁ。坪井ならできるよ、一番適任だよとかさ。俺もお前らと一緒の24時間しかないっての」
悪びれもなく当たり前みたいに全部任せてきてさぁ……。と、小さな声で言いながら。
いつもよく動くブラウンがかった綺麗な瞳が一定に揺れる。
ゆらゆらと不安定なソレは、まるで心の中と繋がってるようだと。
なぜか、ぼんやりと思い……、思いながら。
真衣香は自分の思い違いにハッとした。
遠目に見てきた表情や、人伝に聞く評判だけで見ていたこと。