いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


(違う、見てたんじゃなくて多分〝眺めてた〟)

誰よりも先に真衣香は知っていなければいけなかったのにと。
自分自身。
何も不満はないよと言わんばかりに笑顔でいる、その時の心が笑顔だったことは?

(なかったじゃん、少なくとも会社では)

現状への葛藤や不満、そして不安を誤魔化すために笑顔を貼り付けてた。
それを、どうして当たり前のように自分だけだなんて悲劇ぶったことを思っていたのか。

真衣香は顔が熱くなるような恥、それと同時に胸の奥に重苦しい罪悪感を覚えた。

「凄いなんて、失礼なこと言っちゃった。ごめんなさい」
「……え。え? なんで謝んの。お前が」

ボーッと定まっていなかった視線が、パチリと真衣香を捉えたことに、ホッとして続ける。

「……うん、自分がされて嬉しくなかったこと坪井くんにしちゃったと思って。 今、一緒にいる坪井くんを見て話さなきゃダメなのにね」

頼りなく笑顔を作った真衣香を坪井はポカンと見つめている。
空気を掴めないと言わんばかりの、気が抜けたような表情。 珍しくて、不思議で、もっともっと見たいような気持ちになった。

「え、見て……、話すって、何を?」
「坪井くんを、だよ」

「俺?」と、聞き返す声は小さくて、聞こうとしなければ聞こえないような、そんな声。

いつもと違う雰囲気を、ただ見ていたいと嬉しく思っているわけではない。
実は、少しだけ手に汗をかいている。
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