これは恋ですか。
「華子、俺のリュック」


「ただの『慣れ』ですよ。
だって、こうやって私の名前でわざわざご指名ですもん」

私はジュンさんにそう告げて。

リュックを大和に持っていくと、彼は中から謎の装置を取り出した。
それから、メモを見ながら、何かを計り始める。

「華子、これ持ってて」

大和、すごくイキイキとしてる。
考え中の大和は、自分の世界にいて。
自分が何のお手伝いしてるかはわからないけど、私を指名してくれることは、なんだかうれしい。

この人が、何かを作り出そうとするパワーは底知れなくて、私もワクワクする。


「よし。
そうだな…ジュンさん、そこのディスプレイ用の台をこっちに。
あと、そこのスポット用のライトは消して」

「ちょっと、大丈夫なの?
大和、こんな窓際の端っこは目立たないから、ディスプレイしても無駄よ?」

そう言いつつ、ジュンさんはスタッフに声をかけながら大和の指示に従う。

「まぁ、見てろって。
マネキンの向き、ストップかけるまで右回りに回して。
そう、ストップ。よし、48度。ピッタリだ。

じゃあ、ジュンさん。

今、この店で一番の服、コイツに着せて」

「一番の、服?」

ジュンさんは、ちょっと考えるそぶりをして、マネキンを見る。

ジュンさんが持ってきたのは、黒いワンピース。
胸元にキラキラしたビーズの飾りがあるけど、とてもシンプルなデザイン。
それをマネキンに着せた。
マネキンの向きもちょっと変。正面で見るとなんだか斜めで、ハスに構えているみたい、


「それから、そこと、そこのハンガーラック、こっちに移動して。

じゃあ、華子。
一度店を出て、もう一度、中に入って見ろ」

なんだかよくわからないけど、大和に追い立てられるように店の外に出された。

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