これは恋ですか。
改めて、ブティック「JUNN」のドアをくぐった。



え?

まるで、雰囲気が変わった。

お店に入って、何故か一番に目につくのは、さっきの黒いワンピース。

キラキラした明かりの中に浮かび上がるような黒のワンピース。胸元の飾りが光を反射して、さらにゴージャス。
入り口から見ると、キチンと正面向いて立っていた。


「どうだ、華子」


「商品は何一つ変わらないのに、別のお店みたい。高級感の中に、キラメキが散りばめられていて、なんだか、そう、ときめく感じ。
そして、とにかくこのワンピースに目が行く。
すごくステキ。着てみたくなる」


「…なるほど、隣の店のキラキラを拝借したわけね。
こんな店の端っこに、メインのディスプレイだなんて、固定観念にとらわれない大和らしい。

いいじゃない。気に入ったわ」



「…あの、すみません。このワンピース、試着出来ますか?」

早速お客様が食いついた!

「もちろんです!
ミキちゃん、お願い」

スタッフがお客様を試着室にご案内する。


それを見送ったあと、ジュンさんがこそっと教えてくれた。

「…実はこのワンピース、ウチで一番売れてないの。シンプルで使いやすいはずなんだけど、他のデザインに埋もれちゃって。
あとは、大幅値下げでもするしか無いかな〜なんて思ってたんだけど。

うふふ、大和、ありがと。
『この店で一番』って言葉、すぐわかったわ。
あとで、お礼するわね」


「あー、服ならいらない。
あ、そうだ、華子に。
華子、欲しい服あれば、もらって」

< 114 / 140 >

この作品をシェア

pagetop