これは恋ですか。
「華子…。
ヤバイ。今すぐ抱きしめてキスしたい。
君が愛しくてたまらない」


なんだかやけに艶っぽい大和の声。
もし、今、抱きしめられてキスなんてされたら。
それだけじゃ済まなくなりそうで、ちょっと怖い。

私には、最優先でやらなきゃいけない事があるというのに。

「…何を言い出すの、大和。
急いで副社長のところに戻らないと。
桜木先生にお洋服を届けなきゃ」


「だな」


大和は笑って、銀座の街を見下ろす窓辺でそっと抱きしめて頬にとびきり優しいキスをくれた。


私には、最優先でやらなきゃいけない事がある。
わかっているけど。
なんだか、夢のようにステキなシチュエーションのプロポーズ。
ドキドキして頭がぼんやりしてしまう。



「さぁ、急ごう。
あとは専務と相談して同時進行だ。
何しろ、専務のところと同級生の子供が欲しいから」


ん?


ウットリと幸せを感じていたのに。
発せられた大和の言葉で、頭の中にハテナのマークが浮かんできた。


そういえば、最初からそれ言ってた。


側にいてほしいとか、これからも、理解して支えてほしいとか、さっきの言葉に嘘はないはず。
嘘など、つけない人だから。

でも、それは結婚の一番の理由じゃないのかも。

副社長が結婚するから、自分もする。
結婚するなら、子供も同級生で。

これこそが、本当の一番の理由のような気がした。


「ちょっと待って、大和。
赤ちゃんが欲しいから、急いで結婚…なの?
副社長と張り合うつもり?
それなら相手は、誰でもいいってことよね」


「誰でもいいわけじゃないよ。
俺、華子以外に結婚したい女はいないし。

華子が嫌なら、諦める。

俺さ、専務と同級生で本当に幸せで。
だから、子供も同級生になって欲しい。
できれば専務のお子さんを支える存在になって欲しいんだ」

< 126 / 140 >

この作品をシェア

pagetop