これは恋ですか。

「よし、ちゃんとしてきたな」

専務がパッと顔を上げる。

あの憂いはもう無かった。
私の気のせいだったのかな。


「そりゃあ、ホテルストリークの最高級ディナーが食べられるんですから〜
ブティック「JUNN」も寄りますよ!
ジュンさんが専務によろしくって、言ってました」

専務は、自分のお抱えのデザイナーに久我さんを託したのだ。

さすがは専務が絶対の信頼を寄せる、世界的デザイナーJUNNZO SUZUKI。
久我さん、さっきとはまるで別人のよう。

顔を隠していた前髪は、綺麗に整えられ、顔がはっきりと見える。
すごく彫りが深くて、それでいて、人懐こい笑顔。服も、体にフィットしたジャケット、スラックス。手足、長い。

キチンとすれば、カッコいいじゃないですか。
ただ、相変わらず猫背なのが惜しいけど。

「九条さん、びっくりした顔しないでよ。
俺だってTPOくらいわきまえてるよ」

そう言って久我さんはテーブルについた。

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