これは恋ですか。
助けられたかもしれない
専務を銀座で見送り、私は久我さんが調べた映画館に入った。

「このSF映画だな。
さっきも言ったけど、内容より、音、だから」

結局、久我さんは作業着のまま。
あんなすごいアプリを作った人にはとても見えない。



さて、映画なんて、久しぶりだなぁ。



SFなんてほとんど見たことなかったけど、結構面白い。引き込まれてしまう。
音がまるですぐ近くに聞こえるし、低音なんて体が震えるほど、響く。



映画が終わった。

観客がざわざわと退室していく。


「久我さん、行きましょう。
久我さん?気分でも、悪いんですか?」

久我さんは、頭を抱えてうつむいていた。

「…やっぱり、すごいや、アリオンは。
この、臨場感。ヤバイ。体の震えが止まらない」


「とりあえず、出ましょう」


その場で動かない久我さんの腕を引っ張って立たせて、とりあえずスクリーンを出てロビーの椅子に座らせた。
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