これは恋ですか。
桜木先生とお話したくて、振ってみた話題は、ハズしてしまったみたい。
もしかしたら、仕事以外の事とか無駄話したくなかったのかも。


「九条さんは、こちらのお勤めは長いんですか?以前、拓人…いや、副社長と会った時には、確か、北村さんという方が担当でしたが」

しばらく沈黙があって、秘書の黒川さんが声をかけてくれた。
副社長を“拓人”と下の名前で呼ぶなんて、よほど親しいのかしら。


「今年で三年目なんです。
副社長の担当は、まだひと月です。
北村さん、妊娠されてもうすぐ産休に入りますので。今、必死で引き継ぎをしているところなんですよ」

「そうなんですか。
じゃあ、大変ですね。副社長に付き合っていたら、毎日帰りが遅いんじゃないですか?ご家族も心配でしょう」


「父は、私が仕事をする事に反対で。見合いして結婚しろってうるさくて。
一条副社長の秘書ならばって、渋々仕事させてもらってるんです。
副社長も父の事はよくご存知なので、なるべく早めに帰してくれます」



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