これは恋ですか。
青ざめた副社長が桜木先生を抱きしめている。
その姿を見て、確信してしまった。


あぁ。やっぱり。
副社長は、桜木先生が好きなんだ。

いつでも、スマートでとんでもなく仕事も出来て、カッコよくて、近寄りがたいほど完璧な副社長が、流れる血が体に付くことも厭わず、狼狽えたように桜木先生を抱きしめている。


わかってしまったけど、その事に私は不思議とそれほどショックを受けていなかった。
桜木先生みたいな、素敵すぎる女性なら、完敗。
むしろ、先生が相手なら諦められる。


それより、この状況の方がずっとショックだった。
一体、どうしてこんな事になったの?
10年もアメリカにいて、向こうで仕事をしている桜木先生が、なぜ日本で刺されなきゃならないの?
この犯人は、どんな恨みを持っていたというの?


桜木先生は、虚ろに目を開けたまま、次第に顔色が白くなっていく。

どうしよう。
どうしよう。
桜木先生が死んでしまう…
血が流れて止まらない…


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