これは恋ですか。
「…ママ?」

その時、丹下先生の後ろから、大和が小さな子供を抱っこしながら入ってきた。


「もしかして、先生の娘さん?」

「そうなの。
おいで、初音。
華子ちゃんよ。ご挨拶は?」


「はなこちゃん、こんにちは」
「こんにちは、初音ちゃん。はじめまして」


まるでお人形みたいに可愛い娘さん。
私にニッコリ笑いかけて恥ずかしそうにしてる。



その時、カタンと音がした。

見ると、起きたらしい桜木先生が扉にもたれて立っている。


「桜木先生!大丈夫ですか?」
「いぶきさん、起きて平気なの?」

私と丹下先生がほぼ同時に声をかけた。

副社長がサッと桜木先生に歩み寄り、その体を優しく支えてソファに座らせる。


「えぇ、大丈夫。
恵さん、九条さんも、来てくれてありがとうございます。
もう、夕方なんて。起きてビックリした。こんなに眠れるはずない。

…黒川のしわざね。私に薬を盛るなんて、いい度胸じゃない」

「アイツなりにいぶきを思ってした事だ。
どうだ、痛みは?体は辛くないか?」

心配そうに問いかける副社長。
桜木先生は、髪を軽くかきあげて小さく笑った。


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