俺様副社長に娶られました
「あのっ、今日、できたら、インテリアショップに行きたいのですが」


声を上ずらせながら、沙穂は途切れ途切れに息を吐いた。

沙穂が天の川で男性客に自ら語っていた付き合った経験がないということと、酔い潰れてホテルに泊まった翌日の慌てっぷりや初な反応を踏まえれば、男性経験が無いのは明らかだった。

だから、同居してもずっと大事すぎて、手が出せなかったけれど。
今はもっと知りたい、もっと愛したいという願望がこみ上げてきてセーブするのに苦労する。


「俺は出かけるより、一日中こういうことしてたい」


わざと耳元で囁やけば、沙穂の身体は素直な反応をみせる。


「ここ、こういうこと……⁉」
「ああ。やらしいこと」


正直に言った俺は……。


「……ふ、ふざけないでください!」


沙穂に怒られた。
俺はふざけているつもりなど毛頭無いんだけど。

まあいい。ここは俺が折れよう。

ここに戻って来る夜まであと数時間待とう。

二十年も待ったんだ、数時間くらいなんてことないだろ。


「わかったわかった、行くよ、どこでも」
「いいんですか⁉」


急に怒った顔を柔らかくほぐし、沙穂は明るい声で言う。現金なやつ。


「ああ。その代わり……」


俺は起き上がると、沙穂の身体を両脇から挟み込むようにして覆いかぶさった。
感じてる可愛い顔を、もう少し堪能させてもらうために。


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