桜の咲く頃……… 君を想う
そんなある日。

目を覚ました俺の目に入ったのは、テーブルの隅に置かれた

あめ玉が2つ。

よく見ると、アメの下には調べた英文を書き込んだ紙が置いてあったから。

たぶん風で飛んだ資料が、再び飛ばない為の重石代わりだったんだろう。

親切な心配りに気持ちよくなり、ありがたくアメを頂いた。

口に入れると、懐かしい味が口いっぱい広がり。

疲れた頭と心を癒してくれた。

偶然のご褒美だと思った次の日

やはりテーブルの上には、アメが2つ置いてあった。

今回も懐かしいイチゴのアメ…………と思ったら

一つはイチゴのアメだったが、もう一つは……………

今日一日喉の調子が悪い俺に合わせたように、カリンののど飴だった。

…………………………偶然か?

気になった俺は…………

今日授業をしたクラスを思い浮かべ、生徒の顔を思い出してみた。

そうして、あることを思い出したのだ。

それは…………授業ではなく、廊下で夏苗ちゃんに逢った時の事。

「あれっ?
先生、何処に行くんですか?」

職員室や準備室のある建物は、教室のある南棟。

俺が目指していたのは、東棟の図書室がある建物だったから。

「ちょっと参考資料を探しに。」

俺の答えに、「ふ~ん。」と気のない返事の夏苗ちゃんたちと違い。

「………………あの、先生。
お風邪ひかれていらっしゃらないですか?……………」と

とても控えめに聞いてきた生徒…………木下さんがいた。

……………………………もしかして?

気になった俺は、次の日寝たふりを決め込むことにした。
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