婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
「気にしなくていいですよ。真実を知れたので、これからは強い態度で対応します」

「また対峙する前提か」

「そう簡単には諦めないでしょう。新さんは素敵な人ですから、どうにかして手に入れたいと思う気持ち、分からなくないです」

 クスクスと笑う。こうして心から笑顔になれたのはいつ振りかな。

 吐き気止めの効果が現れてきたのかもしれないが、それ以上にずっと心を苦しめてきた悩みが消えて、ここ数日間の中で一番調子がいい。

「茉莉子は口ではそう言うけど、俺に興味なんてないよな」

 表情を引っ込めて、なにを考えているのか分からない口調で問われて瞬きを何度か繰り返した。

「興味がないなんてあるわけないじゃないですか。新さんは旦那様ですよ。白石さんの件で私がどれほど悩んでいたか、もう少し思い知ってほしいですね」

 ツンとして言い放つと、静かな眼差しで見つめ返される。

 私、変なこと言った?

「どうしたんですか?」

「俺は茉莉子が好きだ」

 唐突に放たれた告白に一瞬息が止まる。

 好きって……言ったよね。
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