婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
「いろいろ考えて選んだところで、茉莉子はいつも無反応だったけどな」

「え! そんなことはないです!」

「無理しなくていい。人には好みというのがあるのは分かっている」

「嘘じゃないです!」

 ただ新さんが選んでいるのか半信半疑だったし、親たちが用意した席での業務的な贈り物であるのなら、大袈裟に喜ぶのも気が引けたから。

「このルームウェアもちょっと恥ずかしいけど、可愛くて好きです」

 色素の薄い瞳を真っ直ぐ見つめていると、こちらに向かって長い腕が伸びてきて、おもむろにガウンをぺらっとめくられた。

「ちょ、ちょっと、なにをしているんですか!」

 ギョッとして声を荒げる。

 はだけないように襟を胸元にたぐり寄せていたのに、胸元どころか肩まで露わになった。

「アルコールに弱い体質っぽいな。この辺も赤い」

 人差し指でつうーっと私のデコルテをなぞる表情はいつもと変わらない。

 スキンシップが多過ぎない?

 いくら夫婦になったからって私はいきなり変われないよ……。

 緊張が極限に達して、石像になったかのように固まった私を物珍しそうに眺める姿から感情は読み取れない。

 からかっている……というわけでもなさそうだし。

 アルコールに向いていない体質ではないかと、本気で気にかけているだけなのだろうか。
< 39 / 166 >

この作品をシェア

pagetop