冷酷王子は子リス姫を愛でる
部屋まで送り届けようと、一緒に廊下を歩く。



「マメの種類によって、ショーユが作れると思うのです」

「なに?」

「ショーユです。マメで作る調味料。ミーソも豆で作れるので…。作ったりしませんか?」

「それはアレか?調味料を作れば料理の幅が広がると?」

「あっ、完全に私欲です…」



やっぱりおもしろい。



でも、それはそれで一つの事業になる。



それをわかって言ってるのだろうか。



事業が立ち上がれば、働く場所も増える。



「お米からお酒も作れるし…」

「それを作れる職人はキャシーの国にいるのか?」

「はい」

「そうか。頭が悪いと言ったことを謝らなければならないな」

「あと、ここでは年中トマトが取れるのですよね?トマトでケチャップも作りたいし…」



俺の話は全く頭に入っていないようだな。



部屋の前に着いてしまったではないか。



「では殿下、お疲れ様でした」

「やっぱり、お前は頭が悪いのだな」

「はっ‼︎」

「これは…ねだられたということだろう?」

「違っ‼︎」

「クククッ…、バカめ」



頬に触れるだけのキスをした。



目を逸らす警備の兵士達。



リンゴのように赤くなったキャシーは、やはり俺の心を掴んで離さないらしい。



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