懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
秘書業務で急な残業が入っても嫌な顔ひとつせず働くし、休み明けに「休日はどうだった」と訊いても大抵「幼馴染とたこ焼きパーティーしました!」とか、「母と映画を観てきました!」とか、そんな回答ばかり。
よくここまで誰のものにもならず、仕事に精を出してくれたものだ。
そんな健気な宮内から求愛されたのかと思うと光栄で、俺は確かめるように繰り返した。
「そんなに子どもが欲しいのか」
そんなに、俺の子が。
尋ねると宮内はさらにカァァァッと顔を赤くして、消え入りそうな声でこう答える。
「はい……欲しいです。信頼できる幼馴染はいるんですが、絶対ぎくしゃくしてしまうでしょうし……」
「……ん?」
なんだって?
「見ず知らずの人のほうが後々になって気を遣わせることもなくていいと思うんですけど、ちょっと……怖いじゃないですか? そういう……子どもをつくる行為を、見ず知らずの人とするのは。そこまで真剣に考えるくらいには欲しいんですけど……」
何かをぼそぼそ唱えている宮内。
聞き取れなかったわけではないのだが、俺の抱いた感想はこれひとつ。
「……お前は何を言っているんだ?」
「な……なんでもありません――!」