懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~

 考えられうる限り彼女を労わり、()でて――望むものすべてを与えよう。
 彼女への愛情を認めると体が軽くなったような気がした。


「俺の子種をやる。今晩空けておけ」


 その後も宮内が何かと言い訳をして撤回しようとするので、俺は「ホテルを予約する」と言って逃げ道を奪った。

 彼女と体を重ねるのなら、今晩以外ない。
 これで〝また後日〟なんて言われても、俺の心臓は絶対にもたない。


   *


 かくして今、俺は約束のホテルに向かっている。

 新工場建設の検討会の後には、社外で大口顧客である社長との折衝が予定されていた。相手方の社長は業界内でも頑固親父として有名だったので、ここ数日の中で一番憂鬱な案件ではあったが、この後に控えている宮内との約束を思えばなんだってできる気がした。

 そして事実、社長との折衝はうまくまとまりを見せた。二、三回は根気強く話し合う心づもりでいたのに、拍子抜けするほど簡単に。

 それもこれも、宮内が「これも用意していったほうがいいのでは」と差し込んでくれたデータのおかげだったりするので、この日ばかりはアイツが幸運の女神のように思えた。
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