懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~

 私用があるからと言って、運転手とは得意先の会社で別れた。約束のホテルまではタクシーを使い、車寄せに降り立ってエントランスホールに向かう足のなんと軽いこと。

 カウンターに立ち寄るとチェックインはもう済まされていて、連れはもう部屋に上がっていると聞かされた。

 宮内からも〝到着しています〟とメッセージがきていた。それに対して〝やる気だな〟と返信すると既読スルーされた。こんなことはあんまりないのでおもしろい。

(それにしても……交際も結婚もすっ飛ばして「子どもが欲しい」なんて大胆な奴め。嫌いじゃない……)

 エレベーターに乗り込む俺は完全に浮かれていた。



 ガラス張りのエレベーターで夜景を一望しながら最上階まで上がり、突き当たりの部屋にカードキーをかざす。
 今日押さえた部屋はスイートだった。宮内はそれをチェックインするときに初めて知ったはずだが、一体どんな反応をしたのか。

 きっと内心〝えぇっ!?〟と思いながら、表面上は普通に対応したんだろうなと。なんとなく想像がついて笑いを噛み殺した。

 ドアの中でロックがガチャッと解錠される音がして、重ためのドアを開ける。
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