懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
 開けてすぐ目の前には広々としたリビングがあり、ソファに座っていた宮内は居心地の悪そうな顔で俺のことを振り返った。

「……なんでこんないい部屋にしたんですか!」
「やっぱりそんな反応か」
「やっぱりって、そりゃっ……こんないい部屋泊まったことありませんしっ……」

 想像通りなので笑ってやると、宮内はソファから立ち上がって俺に詰め寄ってくる。
 その姿は昼間に会ったときと同じ。ビジネス向きの甘すぎないデザインのワンピースに、かっちりとしたジャケットを羽織っている。

 これからこれを抱くのか、と思ってしまって、ちょっとした背徳感に襲われた。

 俺がジャケットを脱いでソファの背もたれに適当にかけると、宮内がすかさず「皺になりますよ!」と言ってハンガーに掛けてくれる。

「格好も昼間のままだな。てっきりシャワーくらい浴びてるかと思った」
「そんなこと言って! 浴びてたら〝やる気満々だな〟って馬鹿にするつもりのくせに!」
「馬鹿になんてしないよ」

 実際にシャワーを浴びて待たれていたなら、自分は怖気づいていたんじゃないかと思う。
 今、このスイートルームに宮内とふたりきりだというだけで、柄にもなく緊張している俺がいる。

 そんなこと悟らせたくないので飄々とした口調を守るけれど。

「それで、抱かれる準備はできたのか?」

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