懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~

 すぐ下でナイトガウンを押し上げて自己主張しようとする自身に〝(しず)まれ。フライングすんな〟と念じながら、何喰わぬ顔をつくって宮内を呼ぶ。

「覚悟ができたら、いつでもいいぞ」

 すると彼女は、一拍だけ間を置いたあとでこちらに歩み寄ってきた。

(覚悟早ッ!)

 もうできたの!?

 逆に俺の覚悟がまだで狼狽えそうになった。
 宮内はおずおずとベッドの上にあがり、俺の目の前で正座する。

「なんか……あらためて、すみません。こんなことをお願いしてしまって……」
「いや……」

 部屋の電気は宮内が風呂に入っている間に消しておいた。
 今、明かりは窓から射し込む月明かりだけで、それが彼女の纏う空気をより神秘的に見せていた。伏せられた睫毛にのった月明かりがキラキラしている。

 綺麗だ。
 そう思えば思うほど、緊張が高まっていく。

(……魔女なんだって言ってたっけ)

 彼女は幼い頃に母親から言われたその言葉を真に受けて、しばらく〝自分は魔女だ〟と信じていたのだと話していた。

 あながち間違いではないんじゃないかと思う。
 俺は彼女に少し人間離れした魅力を感じている。

 強烈に惹きつけられる何か。率直でひたむきで、ここぞというときだけ強欲。
 言うなればそれは、魔女と呼ぶのにふさわしいかもしれない。
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